グレイヘアの実際
とは言え、これで一挙に女性のグレイヘアが市民権を得るかと言うと、そう簡単でもなさそうです。
そもそも近藤サトさんがまだ50代に入ったばかりと若く、一般的には、近藤サトさんくらいのグレイヘアというのは、もっとずっと上の世代がメインになるという現実があります。
近藤サトさんと同世代の女性の多くは、実際に白髪をありのままにしておくことに抵抗があるのも現実のようです。
身も蓋もないですが、こんな意見もあります。
とにかく、「流行なのかもしれない」と、白髪を放置して、どれだけの人が美しく見えるのだろうか。近藤サトは、フジテレビ入社当時、先輩男性社員がザワついたほどの美人であり、華やかな同局の女子アナの中でも、もっとも美しい(好みか否かは別)一人ではないか。
つまり、彼女はグレイヘアであっても、逆にカラーリングを施していても、なんならスキンヘッドにしていたとしても、美人に変わりはなく、「グレイヘアが流行り?」を真に受けて彼女のマネをしたところで、いいことばかりではないのではないかと私は思う。
それを言っちゃあ…、という意見ではありますが、これも世の少なからぬ数の同世代の女性の偽らざる視点のようです。
一般女性の間からは「いざ自分がやるかというと、なかなか難しい」という声も。誰もが実践できるかというと、疑問を感じざるを得ないグレイヘア。
(中略)
グレイヘア賛美の風潮がある昨今ながら、一般女性の中には「カッコいいとは思うけど自分では難しい」「普通の生活を送る女性には無理」「ラクそうだなとは思うけど…」と、二の足を踏む人が多いのも事実。“グレイヘアブーム”と話題になることで、逆に両極の選択肢に悩んでしまう女性も少なくないだろう。
また、同記事によると、一般女性にとって、実際の日々の生活においては、
- 周囲への影響(他人からの見られ方への配慮)
- おしゃれが難しくなる
- 女性の場合は10歳ほど老けて見えてしまうという現実
などのハードルがあり、言うは易く行うは難し、ということになりそうです。
ここでいうグレイヘアの本質は、“黒髪を諦める”のではなく“白髪を選ぶ”ところにあるのだ。そして、そこへ一歩踏み出すには、自分を取り巻く環境やライフスタイルも変えていく覚悟がいる
「諦める」という消極的、受動的ではなく、「選ぶ」という積極的、能動的、主体的な姿勢こそが「グレイヘア」の本質ということですね。
確かに近藤サトさんのグレイヘアには、強い決意や一種の悟りのようなものが感じられます。
近藤サトさんご自身も、グレイヘアを安易には勧められないそうで、
白髪を染めるかどうか悩んでいる人は、なぜ悩むのかを考えたほうがいいです。モテたいから染めるという考えだっていいし、見た目にこだわる人がいたっていい。ブームだからといって、安易に白髪にするのはオススメしません。グレイヘアはただの、ヘアスタイルの一つの選択肢なんです。
と発言しています。
黒髪か白髪か、は一つのヘアスタイルの選択肢に過ぎないとは言え、まさにライフスタイルやアイデンティティにも根ざした、奥の深い問題と言えそうです。
グレイヘアにしたことで女を捨てたつもりはないけど、そういうふうに見られる感覚はあります。“サトさんは女性として1抜けたのね”と。まだ、世間のマインド的には“グレイヘア=シニアをいち早く宣言した人”みたいなイメージなのかなと思います。全然そんなつもりはないんですけどね(笑い)。
現実問題として、本人の意図とは別に、女性のグレイヘアは、世間的にはそういう扱いをされてしまう風潮があるみたいですね。
この世間の風潮(他者の目)と、自身のライフスタイルや生き方における主体性とを、どう折り合いをつけるか、という点で、「黒髪」か「白髪」かは、中高年の女性の一つの大きなテーマとなりうるのかもしれませんね。
以上、近藤サトさんのグレイヘアについてでした。最後までお読み頂きありがとうございました。