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父親

角田光代さんは、エッセイなどで母親のことはよく書かれていますが、父親のことはめったに書かないそうなのですが、なぜかというと、角田光代さん自身が、父親のことをよく知らないからなのだそうです。

角田さんの父親は、角田さんが17歳の秋に亡くなっています。

よく知らない父親のことで、いくつかの思い出があるといい、その一つが”白菜”でした。

”典型的な昭和の人間”だった角田さんの両親は、父親は家事をいっさいやらない、母親も父親にやらせない、という家庭だったのだそうですが、唯一、冬場に白菜の漬物づくりを父親がやっていました。

母親曰く、”自分が食べるから”、自ら漬け物作りをしていたのだそうです。

父親が亡くなってからは、白菜を漬ける人がいなくなり、白菜漬けはたまに食べるくらいになりますが、冬になり、大きい白菜を見かけると、父親のことを自動的に思い出すのだそうです。

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源氏物語

2020年2月、角田光代さんは、「源氏物語」の現代語訳の最終巻を出版しました。

「源氏物語」現代語訳は、与謝野晶子、谷崎淳一位、田辺聖子、瀬戸内寂聴など、時代を代表する作家たちが挑んできました。

2014年11月に、第一巻「古事記」から刊行を開始した「池澤夏樹=個人編集 日本文学全集」(全30巻)の最後を飾るのが、角田光代さんによる新訳「源氏物語」(全3巻)です。

2020年2月27日に、完結巻の「源氏物語 下」が刊行されました。

角田光代さん訳の特徴は、敬語をほぼ廃して、今までの現代語訳ではすんなりと読み込めなかった細部までが読めるのが特徴といわれています。

角田光代さんがこの仕事に、”長編小説断ち”を宣言して、5年の時間を費やしたといいます。

当初は3年ほどかかるくらいに思っていたそうですが、読み込んでいくうちに、3年では全然足りない、とても大変な作業だったといいます。

現在は?

2020年7月から、読売新聞朝刊の連載小説「タラント」がスタートしています。

現代語訳「源氏物語」に専念したあとの、5年ぶりの長編小説です。

新作の主人公は、香川のうどん屋が実家の女性です。

主人公みのりは、18歳の大学進学とともに上京。

結婚して現在は洋菓子店で働いています。

40歳を前にどこかどこか宙ぶらりんな彼女の日々と、思春期を迎えた中学生のおい、片足がない90代の祖父との交流を描きながら、戦争やパラスポーツなどのテーマを織り込んでゆく、というストーリーです。

「タラント」とは、聖書にもでてくる言葉で、”才能””賜物(たまもの)”という意味です。

読売新聞の連載は、2005年~2006年の「八日目の蝉」以来2回目となります。

ファン待望の長編小説、これからの展開が楽しみです。

以上、角田光代さんについて、でした!