八千草薫さんの性格
八千草薫さんといえば、おっとりとした良妻賢母の役柄を数多く演じ、一般にもそのようなイメージがついていますが、ご自身はそのことについて「面白くない」と考えているようです。
夫の谷口千吉さんとの馴れ初めなどもそうですが、実際の八千草薫さんの人柄はスクリーンでのイメージとはだいぶ違うのでしょうか。でも役者というのはそういうものなのかもしれません。
八千草薫さんの人柄を示す有名なエピソードとしては、75年のドラマ『赤い疑惑』での降板劇があります。
(『赤い疑惑』より。山口百恵さんと)
同作品は「昭和の歌姫」として当時人気絶頂だった山口百恵さん(当時16歳)の主演で、後に夫となる三浦友和さんと初共演したことでも知られています。
八千草薫さんは山口百恵さん演じるヒロインの母親役を演じていました。
当時、山口百恵さんがあまりにも多忙だったため、その分刻みのスケジュールに合わせて八千草薫さんら共演者たちが深夜や早朝などに撮影をスタートさせる、ということが多かったのだそうです。
山口百恵さんが不在のときは、八千草薫さんや宇津井健さんといったそうそうたるベテランたちが、山口百恵さんの「影武者」の背中に向かって演技する、ということも常態化していたといいます。
そのことに対して憤慨した八千草薫さんは同作品の第6話を最後に降板。第7話からは渡辺美佐子さんが代役を務めました。
八千草薫さんは、キャストの最後にクレジットされる、ヒロインの母親という重要な役どころだったこともあり、放送当時は突如の降板劇に世間は騒然となったようです。
ただ、ほかに有馬稲子さんも降板しており、シリーズ次回作の『赤い運命』では同様の理由で志村喬さんも降板するなど、同じように不満を持っていた出演者は少なくなかったみたいですね。
それにしても、ものすごい顔ぶれですね…
これほどの超大物俳優たちが、そのような撮影手法を強いられるというのは異様な光景ですが、それほど当時の山口百恵さんの人気が凄まじかったということなのでしょうか。
これに対してどう振る舞うかはすべて個々人の考え方次第なのでしょうが、八千草薫さんはご自身なりの筋の通し方として、この作品を途中降板することを選択したということなのでしょうね。
以上、八千草薫さんについてでした!