早川一光さんの病気、「こんなはずじゃなかった」の真意、そして子供についてです。
早川一光さんの病気。こんなはずじゃなかった
そんな早川一光さんでしたが、2014年10月、90歳のときに腰の圧迫骨折により入院します。
そのときに血液がんである多発性骨髄腫であることを告げられます。
以後、堀川病院時代の同僚だった根津幸彦医師を主治医とし、自らが地域に根付かせた在宅医療を受けることになります。
しかし、いざ自分がそのサービスを享受する側になったとき、早川一光さんの口をついて出てきた言葉は「こんなはずじゃなかった」でした。
在宅医療を受ける生活は、自分が医師として患者を診ていたときからは想像がつかないくらい、居心地の悪いものに感じられていたようです。
在宅とはいえ、夜は一人きりになるのが寂しくて、携帯電話を手放せない。
家族や昔の同僚など、近しい人に毎日を世話をされるのがとても居心地が悪く、特に風呂に入れてもらうのが嫌なのだそうです。
かと言って自分一人で風呂に入ることもできない。
人の世話にはなりたくないが、世話されないと何もできない、自分自身がそんな患者の状態になってみてはじめて見えてきたことがたくさんありました。
そして、「自分はよかれと思って在宅医療を普及させてきたが、実は患者の気持ちを少しも理解していなかったのではないか」と思い至り、それが「こんなはずじゃなかった」という言葉になって現れたのでしょうね。
しかし、それは後悔の言葉ではなく、後に続く人たちにはもっと地域医療・在宅医療を良くして欲しい、まだその余地がある、というポジティブな期待が込められているのだそうです。
独立独歩で誇り高く、かつ人間性というものに対して絶対的な信頼を置いて生き続けてきた、早川一光さんらしいメッセージですよね。
早川一光さんの子供
早川一光さんには多くの子供がいて、少なくとも娘さんが2人、息子さんが2人いらっしゃるようです(他にもいらっしゃるかもしれませんが、把握できませんでした)。
次男は早川岳人(はやかわ・たけひと)さんといい、現在福島県立医科大学医学部医学科の准教授をなさっています。
早川岳人さんは立命館大学で社会学修士号を取得し、滋賀医科大学で医学博士号を取得。
滋賀医科大学リサーチレジデント、財団法人長寿科学振興財団リサーチレジデント、島根医科大学助手、島根大学医学部助手・講師を経て、2010年に現職に就任し、現在に至ります。
専門は予防医学、衛生学、疫学、健康科学、医療社会学、リスクマネジメントとのことです。
医療費・介護費の節減や、労働環境による負担を把握するための調査法や、健診・保健指導による疾患予防など、医療を社会システムの側面から向上させるための研究を行っているようです。
早川岳人さんは、父親の早川一光さんの意思を継ぎ、父親が「こんなはずじゃなかった」という地域医療・在宅医療の未来をより良くしていく後進の一人として、優れた貢献をし続けています。
以上、早川一光さんについてでした!