NHKあさイチ!やおはよう日本でも取り上げられ話題のシリア・アレッポ石鹸。
シリア・アレッポにあったアデルファンサ社と輸入業者の株式会社アレッポの石鹸(東京都福生市、代表取締役・太田昌興(おおた・まさおき)氏)とシリア内戦の影響はどのようなものだったのでしょうか。
アレッポ石鹸とは
アレッポ石鹸とは、シリアのアレッポ地方で古来より製造されている固形の石鹸です。
オリーブ油とローレル油(月桂樹)に、固めるためのアルカリ液(苛性ソーダ)を添加して作られます。
通常のものはオリーブ油がほとんど(90%以上)を占めますが、ローレル油の割合を多くしたもの(40%程度)も存在します。
ローレル(月桂樹)と言えば、乾燥させた葉が「ローリエ」という香辛料として使われていることからも分かるように、ローレル油の使われているものは刺激的で爽やかな香りがします。また、強壮や殺菌や消臭などの効果にも優れると言われています。
粘土の臭いがし、泡立ちも市販の石鹸ほどではないと言われますが、発泡剤を添加していないためで、それが本来の石鹸だということです。
洗い流した後の肌触りが固形石鹸やボディソープと違い、突っ張ったりヌメヌメせず、なめらかですべすべなのだそうです。
また、髭剃りやメイク落としや 食器洗いや歯磨きにも使えるなど、非常に幅広い用途があるようです。
アデルファンサ社のアレッポの石鹸
石鹸発祥の地・アレッポには数多くの石鹸製造業者がいますが、その中でも特にその品質の高さから、日本でも人気なのが、アデルファンサ社製の「アレッポの石鹸」です。
このアデルファンサ社から日本への輸入を請け負っているのが、「株式会社アレッポの石鹸」さん(東京都福生市、代表取締役・太田昌興(おおた・まさおき)氏)です。
「株式会社アレッポの石鹸」の始まりは、1994年に創業メンバーの一人がシリアに旅した時に、当地でのせっけんの品質の良さに感銘を受け、仲間たちと個人輸入を始めたのがきっかけだったそうです。
その後、特に高品質と評判のアデルファンサ社と契約し、本格的な輸入業務を展開。
アデルファンサ社は、350年の歴史のある老舗メーカーで、アデル・ファンサ、タラール・ファンサ父子によって経営されています。
父親のアデル氏は、厳格な職人気質の人で、現場の指揮を息子のタラール氏に任せた後も、石鹸の釜炊きの時には必ず立ち会い、厳しく品質をチェックするのだそうです。
さて、「株式会社アレッポの石鹸」の輸入業務は順調に業績を伸ばしていましたが、やがてシリアで内戦が勃発しました。
2012年から13年にかけては、製造が中止してしまいました。
その時は本当に大変で、日本から安否の連絡をしても反応が得られない、不安な時期が続きました。
しかし、2014年に工場を激戦地のアレッポから、沿岸部のラタキアへと移転し、製造の再開にこぎつけました。
アデルファンサ社製のアレッポの石鹸は、現在では安定して供給されるようになり、日本でも容易に手に入れることができます。
しかし、それもシリアの無数の無名の人々の苦労の上に成り立っていると考えれば、よりありがたみが増しますよね。
以上、アレッポの石鹸、アデルファンサ社についてでした。